2011年7月29日金曜日

3DSに関する雑感とDSi Wareの音楽ソフトのまとめ

midif0nバージョン2.0に向けて実装中。フレーズをRegionとして扱うつもりですけど、需要に関してはよくわかりません。

Nintendo 3DSが8/11より25000円から15000円に値下げされると発表(pdf)がありましたが、これは予想外です(まず5000円の値下げを予想していましたから)。実は3DSはすでに所持しています。ソフトウェア開発を生業としている以上、新しいプラットフォームは研究する価値があります。また購入した理由の一つに娯楽の節電化があります。値下げに対する補償プログラムがありますが、販売予定がないソフトも貰えるなら特に不満はありません(肝心の遊ぶ時間がないと思うけど)。

初代DSが15,000円でしたから、ハードウェアのコストが明らかに高い3DSの新価格15,000円はかなり安く感じます。そんな訳で3DSを購入する方も多いかもしれませんし、ちょうど最近DSi Wareの音楽ソフトをチェックする機会がありましたので、これをまとめて紹介しておきます。何故、DSi Wareかと言うと、App Storeと比較するにはこちらが相応しいし、任天堂のバンブラDXやKORGのDS-10はどこでも取り上げていますから、広告が入りにくいこれらのソフトウェアを紹介する方が需要があるのではないかという判断です。
※ただ、バンブラDXは著作権の処理の仕方に特徴があるので、別の機会に取り上げるかもしれません。

それでは、次の表を見てみましょう。

DSi Ware名称開発 ※1販売ポイントジャンル
ニンテンドーDSiメトロノーム任天堂/IS
任天堂200メトロノーム
ニンテンドーDSi楽器チューナー任天堂/IS任天堂200楽器チューナー
あなたの楽々エレクトロニックキーボードAbylight河本産業200楽器シミュレーター
あなたの楽々エレクトリックギターAbylight河本産業200楽器シミュレーター
あなたの楽々ドラムマシンAbylight河本産業200楽器シミュレーター
ARC STYLE:リズミックスCinemaxアークシステムワークス800リズムシンセサイザー
つくってうたう さるバンドムームー任天堂800おまかせソングメーカー

※IS : インテリジェントシステムズを略
エレクトリックプランクトンはDSソフトを分割したものなので、意図的に外してあります。

ついでにAbylightとCinemaxの日本未発売ソフト一覧です。
DSi Ware名称開発 販売ポイントジャンル
Music on:Retro KeyboardAbylight日本未発売200(楽器シミュレーター)
Music on:Acoustic GuitarAbylight日本未発売200(楽器シミュレーター)
Music on:Learning PianoAbylight日本未発売200(楽器演奏ソフト クラシック)
Music on:Playing PianoAbylight日本未発売200(楽器演奏ソフト クラシック)
Music on:Learning Piano Vol.2Abylight日本未発売200(楽器演奏ソフト クラシック)
Rytmik Rock EditionCinemax日本未発売800Pocket Music Station
Rytmik Hip Hop KingCinemax日本未発売800Pocket Music Station
※括弧内は、公式ではなく独自に判断
※rytmikは、日本ではrytmix(リズミックス)になっている点に注意。ジャンルもPocket Music Stationがリズムシンセサイザーになっています(ずいぶん印象が違いますが、個人的にはPocket Music Stationの方が名は体を表しているように思えます)。

抜けが合ったら教えて欲しいですが、ソフトの量はだいたいこんなものです。ただ、必要十分に揃っていると思います。

まず今回チェックして初めて分かった事は、驚くことに任天堂によるメトロノームやチューナーが単体ソフトとして存在していることです。App StoreではSteinwayのメトロノームが無料で手に入ります。しかし、メトロノームをこの価格帯で、優劣の比較をしても意味がないでしょう。好きなデザインで好きな音のものを使えば良いのではないでしょうか?ただ個人的に3DSのソフトウェアが気になる大きな理由があります。それは、"3DSの内蔵ステレオスピーカーの音質が非常に良い"ということです。携帯機は内蔵スピーカーの音質を良くするのは難しいのだろうという先入観がありましたので、初めて音を聞いた時は、ちょっと信じられませんでした。音質の評価は個人的な嗜好がありますし、分析データをチェックした訳でもないのですが、今のところ音質が良い以外の評価を見た事がないので、たぶん間違いないと思います。
つまり音楽ソフトの使用状況によっては、3DS/DSのソフトであるということ自体が有利になり得ます。(またiPhoneのプラットフォームの欠点として、ヘッドフォン端子の位置が挙がられるのだが、これは長くなるのでまたの機会に)


リズミックスに関しては、DSならではの詰まったUIで触ってみたいのですが、困った事に音源は日本未発売のRock Editionの方が好みです。日本未発売のソフトに着目してみると、似たソフトは悉く省かれているのがわかります。もし日本未発売の理由にラインナップの単純化があるのだとしたら、これは残念なことです。

音楽ソフト含めて、今後の3DSに期待しておきます。

以下、余談。

ところでiPod touchをしばらく触ってから、3DSを触ると印象が全然違います。ホーム画面を適当に動かしている時ですら何だか楽しく感じるのですが、この原因を改めて考えてみると、触覚と聴覚から来るものが大きいと思います。つまり物理ボタンの指へのフィードバックと絶え間なく流れるBGMと軽快なSEに因る所が大きいと思います。原理的にはギターやキーボードを触っている時の状態に近いのかもしれません。
もちろん3D液晶は視覚的にも楽しい訳ですが、上記のことは3D表示をOFFにしていても同様に感じるので、必須事項ではないと考えています。最初3Dの見やすさに関しては懸念していましたが、視野角が狭いものの3Dは非常に見やすく疲れもありません。個人的にはグレアの方が気になるぐらいです。

2011年7月27日水曜日

KAWAIの楽譜カメラに関しての雑感

KAWAIが楽譜カメラを発表して、iPhoneに参入しました。これで国内の主要楽器メーカー4社(YAMAHA, Roland, KORG, KAWAI)はすべてiPhoneに参入したことになります。

この発表を受けてぼんやりと思ったのは、本棚にある大量の楽譜を簡単にMIDIファイルに変換できたらなと。ですが、楽譜カメラの説明を読むとひとつの五線のみ対応とあるので、素早くスキャンするのは難しそうです。また変換には、CoreMIDIかMIDIファイル保存に対応している必要がありますが、説明にはその旨が書かれていないので未対応と思われます。

KAWAIのスコアメーカーにも楽譜の認識機能がありますので、その販促アプリのような感じもします(事実、説明文でスコアメーカーを取り上げています)。ただ、アプリ名が独自であることやリアルタイム認識ができるのはそれを感じさせない面もあり、第一弾としては良いのではないでしょうか?
と言っても僕はカメラなしiPod touchを所持しているため、欲しくても買えませんが。

既存のメーカーから発売されるiPhoneアプリは値段が安い代わりに、販促や移植ものが多く、新規でおもしろいものはなかなか出てきません。現在のApp Storeの状態がかなり安売り傾向になっているのでそれに沿ったビジネスモデルになっているのかもしれません。個人的には、ブランド力がある会社は高い値段でもっと実用性があるアプリを売って欲しいです。もちろん販促アプリも1ユーザーとしては歓迎できるものも多いのですが、会社のリソースには限りがあることもわかっていますし。今回のアプリに関してもiPad版をメインにより優れた楽譜認識機能を載せて、高く売った方がインパクトがあったのではないかと思っています。

2011年7月24日日曜日

ドラム譜について学ぶ

midif0nのバージョン1.5から五線譜のドラムトラック表示方式を変更しました。今回は、その仕様に関して取り上げます。


変更前はドラムパッド単位でした。これを変更した理由は、主に2つです。
  1. 1-15トラックの五線譜表記に合わせる
  2. ラベルを付加せずとも、直感的に理解できる可能性が高い

1に関して言えば、ドラムトラックにおいても五線譜にMIDIノート番号をそのまま割り当てる方法も考えられます。ただ、この表記はどの程度浸透しているのか疑問がありました。五線譜をサポートしているMIDIシーケンサーは限られますし、そういったソフトウェアに限って、きっちりとドラム表記可能な場合が多いためです。

2に関しては、現状のデザインで、ラベルを付加するのは見苦しくなる可能性が高いので避けたいということです。

ただタップ入力中はMIDIノート番号の並びになっています。これは率直に言ってしまえば単なる手抜きでして、あくまで入力結果の並びを重視しています。

さて今まで、ドラム譜を読んだことがないので、どのような形式にすべきか迷いました。
  いくつかのドラム譜をチェックした結果、Wikipediaのものをベースにすることにしました。別の候補としては、Lilypondのドラム譜表記がありました。こちらの方が定義されているノートの種類が多いので、MIDIに関しては都合が良いように見えましたが、こちらの表記についてもどの程度普及しているものか判断ができないため、採用には至りませんでした。

ドラム

シンバル

Wikipediaのドラムセットの楽譜より引用

これ以外のGMドラムノートに関しては、上側の五線譜にMIDIノート順に種類ごとにまとめてあります。また割り当てのない他のノートは、C6の位置に表示しています。Bass Drum等、複数のMIDIノートが重なるものについては、赤、青のカラーで色分けしてあります。

Wikiの記述にもあるようにドラム譜に関しては問題が多々含まれているようですが、個人的にはドラム譜表記は気に入りました。その理由は、音符の形状がある程度、音色を想起させるようになっているので視覚的にわかりやすく感じるためです。

ところで、今回ドラム譜を学んで、特徴的な記号だと思ったのがリムショットです。
リムショットのドラム譜の表記上は一般的に"R"で、他と比べ個性的です。
しかしながらリムショットはGMの定義に含まれていないみたいで表示できません。
"R"と表示してみたかったので、これはちょっと残念でした。

以下、画像の著作権に関する余談。
上のドラムセットの楽譜の画像の著作権は、パブリックドメインになっています。つまり引用などと書かなくても良い訳ですが、著作権は第三者が見ると非常に曖昧なものが多いので、個人的にできるだけ明示する方針です。

加えてパブリックドメインという表記の信用性の問題もあります。これはなかなか難しい問題ですが、実際の著作物の内容をチェックすることや、掲載されている場所である程度判断しています。上の画像であれば、音符という割と単純な形状から構成されていること、かつwikipediaという場所柄、多くの人がチェックできるということです。

2011年7月22日金曜日

midif0n バージョン1.5.1 スクリーンショット集

OSX の Lion ですが、いつものように様子見です。特別惹かれる機能もありませんし、UIに関してもシンプルさが失われていることを懸念しています。

遅くなりましたが、midif0n バージョン1.5.1のスクリーンショットを載せておきます。

プリセット画面
最終的にこのUIに落ち着きました。重いけど。
プログラム番号ごとに纏めてあります。
MT配列を含んでいると見苦しいかも。
システム画面
重なっている項目をなくしました。
編集画面
テンポ、拍子変更等、こちらに移動しました。
メトロノームやカラー変更の扱いは見直すかも。

以下、各モードごとのメイン画面です。
カレントトラックモード
2オクターブ
右にトラックバーを追加。
カレントトラックモード
五線譜
カレントトラックモード
ドラムトラック
4トラックモード
システム画面の機能を移動。
4トラックモード
よく見かける形式。最上段はコード表示。
16トラックモード
全体を把握するために。

カレントトラックモード
五線譜
ドラムトラックはドラム譜に近づけました。

2011年7月14日木曜日

App Store の価格変更について

App Store の価格設定における為替レートの変更があったため、midif0nが1800円から1400円に値下げされています。この件に関しては何も知らなかったため、寝耳に水の出来事です。今更ながらメールをチェックしたところ、一日前にAppleからその旨のメールが届いていました。しかし、多くの開発者はこのレート変更に対応できていないのではないでしょうか?(もっとも国内のみで販売している人以外は価格変更しにくいかもしれません)
midif0nの価格はとりあえず1800円に戻しますが、この機会を期待していた人もいるかもしれないので、一日だけ価格をそのままにしておきます。興味がありましたら、この機会に是非。

2011年7月2日土曜日

YAMAHA i-MX1のニュースとアプリのCoreMIDI対応について

FL Studio MobileのSMFインポート時に楽器割り当てが可笑しいことに気付きました。ピアノがドラムになったり。
そのうち、直るでしょう。

さて、少し前にYAMAHAのiPhone/iPod Touch/iPad用のMIDIインターフェース i-MX1が公式に発表されています。加えて、様々なiPhoneアプリが販売開始されました。Musikmesseで発表されてから、ずいぶん長い間公式リリースがありませんでしたが、これはアプリと一緒に発表する計画だったのかもしれません。

i-MX1は、iOS4.2以降対応ですが、対応機種はiPhone/iPod touchに関しては3G以降になっています。実際の動作がどうであれ、iConnectMIDIの仕様の同じですね。価格はやはり一般的なMIDIインターフェースと比べると高めです。アプリ関係はiOS4.3以降の対応が多いのですが、これはちょっと不思議です。CoreMIDIであれば、iOS4.2以降で良い訳ですし、TENORI-ONアプリ TNR-iのようにCoreMIDI前提ではないアプリは、もっとiOSの低いバージョンに対応していた方が自然とマーケットは大きくなるからです。もちろんサポートの簡易化を考慮しているのかもしれませんし、あるいは何か別の理由があるのかもしれません。
※正直、僕の開発環境がiOS4.2で止まっているため、iOS4.3以降はあまりチェックしていいません。詳しく調査したら何かわかるかもしれません。

今まで、CoreMIDI動作確認のために物理的なMIDIインターフェースを一つ用意するべきだと思っていました。しかし、冷静に考えるとi-MX1があったところでテストの最終段階でしか使わない可能性が高いです。その理由は、開発は基本的にシミュレーター中心になりますし、デバイスでテストする場合、プログラムの転送にMacとiPod touchを接続する必要があり、この状況でMIDIインターフェースを使う場合は、転送後に差し替えてテストしなければいけません。つまり手間がかかります。この場合、MIDI ネットワークでテストした方が効率が良いはずです。

とりあえずMIDI ネットワークが正しく働くかどうか、適当なアプリを使用してテストを行ってみました。テスト内容は、iPod touch 2G(iOS 4.2)に入れたPad MIDIというアプリからMIDI ネットワーク経由で、Macbook上のGaragebandの音源を鳴らすというものです。Pad MIDIは、キーボード/ドラムパッドインターフェース上のMIDIノートを送信できるアプリです。MIDIネットワーク設定は、MacのAudio MIDI設定アプリケーションから行います。結果、これは問題なく動作することがわかりました。

つまり、MIDIインターフェースがなくとも、CoreMIDIの実装に取りかかるのに問題はない訳です。しかし、他に実装したい機能があるので、CoreMIDIに関してはしばらくお待ち下さい。
CoreMIDI実装自体は楽観視しているのですが、一つ懸念しているのはネットワーク接続時の対応かもしれません。何故なら、ネットワーク接続の場合、接続状態を表示する必要があり、これは自然と現状のUIの配置を崩すことになります。気が進まないのです。
そんな訳で、実際にはネットワーク接続だけ外せたら外す可能性もあります。これは奇妙な話に聞こえるかもしれませんが...。ただ実際の使用用途を考えると、ネットワーク接続の利点は少ないと考えています。